機械技術者の自己啓発支援講座(第10回)
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ トルクと回転数と動力
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
前回で、仕事と動力(仕事率)について学びました。車や機械装置では、回転して動力を発生したり、動力を伝えたりする場合はとても多いです。ここでは、回転運動の動力(仕事率)について考えます。

5.2 トルク・回転数・動力
図に示すように、半径R(m)の円板がその接線方向にF(N)の力を受けてn(rpm)で回転している場合を考える。円板を回転させようとする作用の大きさをトルクと言い、接線力と回転半径の積で表される。


                  




すなわち、

         トルクT(N・m)=接線力F(N)×回転半径R(m) ………(1)


ここで、1分間に行う仕事を考えると、


         仕事L(N・m)=力F(N)×移動距離S(m)
                  =F(N)×2πRn(m)
                                =2πRFn(N・m)
                  =2πTn(N・m)


        

  
    




備考〕
   重力単位系で表わすと、上式は、トルクT(kgf・m)、回転速度n(rpm)として、


                 動力(仕事率)P= Tn/975   (kW)




〔演習問題〕

【問題5.2】
図のような巻き揚げ機において、質量m=2,000kgの重量物を巻取径d=400mm、巻取回転数n=120rpmで巻き揚げる場合について次の各問いに答えなさい。但し、重力加速度を9.81m/sec2とする。
(1)ロープの巻揚力はいくらか。
(2)モータの回転トルクはいくらか。
(3)必要なモーターパワー(所要動力)は何kW か。またそれは何馬力(PS)か。

                     


〔解答〕
(1)質量m=2,000kgの物体に作用する重力Wは
       W(N)=質量m(kg)×重力加速度9.81(m/sec2
           = 2,000(kg)× 9.81(m/sec2
           =19,620N


(2)巻取半径は、200mm(0.2m)であるから、巻取トルクTは、
       T(Nm)=W(N)×R(m)=19,620N×0.2m=3,924Nm


(3)従って、必要なモーターパワー(動力)P(kW)は
           P=Tn/9549=3,924Nm×120rpm/9549=49.3kW


    また、 1kW=1.36馬力(PS)であるから、
     
 P=49.3kW×1.36=67馬力

                                Ans (1) 19,620N、(2) 3,924Nm、(3)49.3kW、67馬力



   
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