コラム  ・焼酎の話し(その2)   
− 焼酎の話し(その2) −



1月も半ばに近くなり、正月の「お屠蘇(おとそ)」気分もすっかり抜けましたが、新年会でまた飲み会だという方もいらっしゃることと思います。以前、「焼酎の話し」(→ http://washimo-web.jp/Report/Mag-syocyu.htm )に書きましたように、鹿児島県内には、100社の焼酎の蔵元があり、実に1000の銘柄の焼酎が生産されていて、焼酎メーカーはどこも景気が良いようです。そこで、また焼酎の話しです。


焼酎のルーツ


焼酎は、13〜14世紀頃にはすでに、中国大陸やアジア南洋諸島で製造されていたようです。それが日本へどのような経路で伝わったかについては諸説がありますが、沖縄経路説が最も有力のようです。


15世紀頃、タイ国でつくられていた米焼酎「ラオ・ロン」が、当時交流の盛んだった沖縄に伝来し、それが原型となって焼酎の元祖「泡盛(あわもり)」が誕生しました。その後、焼酎は奄美諸島を経て鹿児島に上陸し、さらに球磨地方や宮崎地方へと伝わっていったようです。


昭和29(1954)年に、鹿児島県大口(おおくち)市にある郡山八幡神社で、面白い落書きが見つかりました。『社殿修補のとき、座主(ざす)がたいそうけちで、一度も焼酎を飲ませてくれない。えらい迷惑なことだ』と訴えている落書きです。今から4百数十年前の16世紀中期の室町時代に、すでにこの地に焼酎が普及し、庶民に飲まれていたことが伺えます。
 → http://washimo-web.jp/Trip/Hachiman/hachiman.htm


南九州では、上棟式とかお花見とかの祝い事や神事の寸志には、決まって焼酎が使われてきました。焼酎一本、焼酎一杯がコミュニティの潤滑油としての役割を果たしてきたのです。4百数十年前もそうだったのでしょう。焼酎の落書きを書いたのは、おそらく棟梁あたりでしょう。もちろん自分も飲みたいが、大工たちをねぎらってやれない迷惑を嘆いているのでしょう。嘆きが伝わってくるようです。


黒麹仕込みの焼酎


最近、『黒霧島』や『黒白波』のように、黒麹仕込みの焼酎造りに取り組む蔵や銘柄が増えてきています。それらの商品は、たいがいが、黒ラベルを貼った黒色のビンに入れて売られているので、中身までが黒いのかと思いがちですが、黒ビールのように焼酎自体が黒いわけではありません。黒麹(くろこうじ)が使われるからそう呼ばれているのです。


焼酎造りは、麹(こうじ)と酵母(こうぼ)の2つの微生物の助けを借りています。焼酎の仕込では、まず水に麹と酵母を混ぜて6日前後かけて発酵させ、酵母の増殖をはかった酒母(もと)を造ります(一次仕込み)。


つぎに、酒母(もと)に、蒸した芋を加えてよく混ぜ合わせ、10日前後発酵させます。そうすると、麹菌の働きで芋の主成分であるデンプンが糖分に変換され、酵母の働きで糖分はさらにアルコールと炭酸ガスに分解されてもろみが造られるます(二次仕込み)。


                  黒麹・・・・深みやコクがある
            −−   白麹・・・・ソフトでマイルド
           |      黄麹・・・・さっぱりした味わい
           | 
         麹(こうじ)   酵母(こうぼ)
           ↓        ↓
 芋(デンプン)−−→ 糖分 −−→ アルコール + 炭酸ガス →(蒸留へ)


焼酎の醸造に用いられる麹(こうじ)の種類には、一般的に黒、白、黄の3種類があります。焼酎でも以前は、日本酒に使われる「黄麹」が使われていましたが、扱いが難しいのと、南国鹿児島の気候では腐敗してしまうこともがあって、もろみの腐敗防止の働きもしてくれる「黒麹」が普及しました。しかし、黒麹はその胞子で蔵や杜氏(とうじ)の衣服を黒く汚してしまうという欠点があり、その後突然変異で生まれた「白麹」が多く用いられるようになりました。


しかし最近、「黒麹」独特の香ばしい味わいに再び注目が集まり、あえて黒麹仕込みの焼酎造りに取り組む蔵や銘柄が増えてきています。一般に、黒麹は深みやコクがあり、白麹はソフトでマイルド、黄麹はさっぱりした味わいが特徴だといわれます。



2004.01.14 
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