機械技術者の自己啓発支援講座(第30回(最終回))
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ 理解度確認テスト(固有振動数と危険回転数)
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
物体(振動系)は、その物体に固有な物理的性質だけによって決まる固有振動というものを持っています。 外部から周期的な外力を加えて物体を強制振動させる場合、外力の角振動数が、その物体の固有振動数に一致すると、物体の振動振幅が無限大になって危険な状態になる、いわゆる共振状態になります。今回は、固有振動数と危険回転数を計算する問題です。
 
〔演習問題〕

【問題9.2】1,600Nの重さのモータがおのおの135N/mmのバネ定数を有する4個のスプリングで支えられている。共振を起こすモータの危険回転数(rpm)を求めなさい。
    
 
【問題9.3】軸間距離が600mmで、その1/3のところに590Nの集中荷重を1個もつ両端支持された軸がある。この軸の危険回転数が1,800rpm以上になるように設計したい。軸径をいくらにすればよいか。但し、軸の自重は無視する。軸は炭素鋼で中実丸軸とする。
 
 

〔解答〕
【問題9.2】
このモータの質量は、1,600N/9.81m/sec2=163.1kg。従って、1個のスプリングが支える質量mは、
 
   m=163.1kg/4=40.775kg
 
一方、スプリングのバネ定数k=135N/mm=135,000N/m。
 
これらの値を次式に代入して、固有振動数p(rad/sec)を計算すれば、
       
             =57.54 rad/sec
 
さらに        p=57.54 rad/sec
             =57.54×60 rad/min 
             =3,452.4 rad/min
             =3,452.4/2π rpm
             =549.5 rpm
                                                Ans  549.5 rpm
 
【問題9.3】
両端支持された軸の1個の集中荷重による振れまわり振動の危険回転数n(rpm)は、軸の自重を無視すれば、
次式で与えらる。
     
  
  ここで、E:はり材質の縦弾性係数(=206,000N/mm2、炭素鋼に対して)
         W:集中荷重(=590N)
         g:重力加速度(=9.81m/sec2=9,810mm/sec2
         a=600mm、b=400mm、c=200mm
         n:危険回転数(=1,800rpm)
 
上式より、はりの断面二次モーメントI を逆算すれば、
    
 
    I =(πn/30)2×Wb22/(3Eag)
     =(π×1,800rpm/30)2×590N×(400mm)2×
                   (200mm)2/(3×206,000N/mm2×600mm×9,810mm/sec2
     =36,883 mm4
 
一方、中実円形断面の断面二次モーメントは、断面の直径d(mm)とすると
 
    I=πd4/64
 
 従って、求める軸の径dは、
    d=(64×I/π)-4
     =(64×36,883 mm4/π)-4
     =29.4mm
                                                  Ans  29.4 mm
 
  【備考】
  (1)中実円形断面の断面二次モーメントについては、機械設計便覧等を参考にして下さい。
  (2)上式で、−4乗は、4乗根と同じことを意味します。 
 
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