機械技術者の自己啓発支援講座(第26回)
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ 演習問題(等価慣性モーメント)
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
ボールネジでテーブルを駆動させたり、あるいはモータでベルトコンベアを駆動して慣性のある物体を直進運動させる場合などのように、直進運動する物体の慣性を、駆動軸に関する慣性モーメントに等価させて考える必要がでてきます。前回では、等価慣性モーメントの計算式を示しました。今回は、その演習問題です。

〔演習問題〕

【問題8.4】質量8,500kg(車輪の質量を含む)、車輪径600mmの台車がある。この台車は、稼働時には、質量2,600kgの荷物を積載するものとして次の問いに答えなさい。
(1)この台車の車軸換算の等価慣性モーメントを計算しなさい。
(2)この台車には、4つの車輪それぞれにブロックブレーキが付いており、直径300mmのブレーキドラムに4,000Nfの力でブロックを押し付けて制動する。ブレーキドラムとブロック間の摩擦係数を0.35とすると制動トルクはいくらですか。
(3)この台車を、荷物を積載して120m/minの速度で走行させている状態からブレーキをかけて停止させる。ブレーキをかけてから完全に停止するまで何秒かかりますか。
 
             

【問題8.5】質量20kgのテーブルに質量90kgの荷物を載せて、送りねじで運ぶ運搬装置がある。このテーブルは、送りねじを80回転させたとき、1m600mm進む。次の問いに答えなさい。
(1)この送りねじのリードはいくらですか。
(2)送りねじ換算の等価慣性モーメントを計算しなさい。
 
               
 
 

〔解答〕
【問題8.4】
(1) I=m(πd/2π)2=m(d/2)2=11,100kg×(0.6m/2)2=999kgm2
     ここで
        m=8,500kg+2,600kg=11,100kg
         d=0.6m
 
(2)摩擦力f=μN=0.35×4,000N=1,400N
  制動トルクTは、
        T=fR=1,400N×(0.3m/2)=210Nm
        車輪4つで、制動トルクTは
           T=4×210Nm=840Nm
 
(3)速度v=120m/minで走行しているときの車輪の回転速度nは、
        πdn=120m/min
           n=120(m/min)/(π×0.6m)=63.66rpm
 
  この車輪の回転速度を0にするのにかかる時間tは、
       t=(2πI/60)×n/T
        =2π×999kgm2/60×63.66rpm/840N
        =7.93sec
 
                                    Ans (1)999kgm2  (2)840Nm  (3)7.93sec
 
【問題8.5】
(1)リードr=1600mm/80回転=20mm
(2)I=m(r/2π)2=110kg×(20mm/2π)2=1114.5kgmm2
    ここで、m=20kg+90kg=110kg
 
                                    Ans (1)20mm  (2)1114.5kgmm2   
  
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